ガソリンスタンドが一軒なくなる。都市で暮らしていれば、隣の店に行けばいいだけの話だ。けれど高知県梼原町の四万川地区では、それは冬に灯油が届かなくなることを意味した。四国山地の北の端、当時499人が暮らしていた集落である。 「もともとあった民間のガソリンスタンドがね、数年前に廃業することになったんですよ。ガソリンスタンドがなくなったら困るでしょう、そら自分たちでやらにゃいかんと」 柔らかい物言いにはっきりした意思をにじませて、空岡則明さんはそう語ったと、取材したライターの甲斐かおり氏は書いている。 174人 ...