ルワンダ北部、ギチュンビ郡の朝。子ども平和図書館の窓から差し込む光が、色とりどりの絵本や環境の本、アフリカの作家が書いた物語が並ぶ棚をやわらかく照らす。近くの学校から先生に連れられてやってきた子どもたちが、一列に座る。手渡された一枚の紙には、英語の単語がひとつ。それを母語キニアルワンダと並べて学びながら、子どもたちはやがて、本のなかの物語を通して「平和の作り方」そのものを学んでいく。
物語から始める平和
1994年、ルワンダはジェノサイドという深い傷を負った。隣人が隣人に、友が友に牙をむき、穏健な人々もまた犠牲になった。その後、国内外の団体がさまざまな和解の取り組みを始めたが、その多くは大人を対象にしたものだった。だが、現場の人々は気づいていた。「子どもたちの間にも、対立はあるのです」——図書館のコーディネーター、フランシーヌ・ムハウェニマナ氏はそう語る。学校での言い争い、盗み、時には取っ組み合い。小さな対立は、確かにそこにあった。
ルワンダの現地団体「変革的リーダーシップセンター(TLC)」は、この物語を書き換える機会を見いだした。北米のメノナイト中央委員会(MCC)と連携し、2005年に最初の「子ども平和図書館」を開く。読書を愛する心と、平和の文化を子どもたちに育てる——それが願いだった。図書館はやがて国内6館に広がった。本を読み、借りて家に持ち帰る。多くの子は家庭でキニアルワンダを話し、学校で英語を学び始める。図書館はその両方の言語に橋をかける場にもなっている。
「いっしょに」つくるもの
読み聞かせの時間、ムハウェニマナ氏は一冊の絵本を前方のスクリーンに映す。ウガンダの教師でもある作家リタ・カテテメラ氏の『Beloved Daughter(愛する娘)』。大切にしていた土の壺を兄弟に割られて落ち込む少女が、友だちに慰められる物語だ。アフリカの作家による本を各地の言語で届ける「アフリカン・ストーリーブック」の一冊で、彼女は一ページずつ、英語とキニアルワンダの両方で読み上げる。この取り組みは、教師や図書館員といったアフリカの人々自身の手で、3,800を超える物語を200以上の言語で無償公開してきた。古くから語り継がれてきたトリックスターの蜘蛛アナンシの民話から現代の物語まで、アフリカの人々が自らの言葉で、自らの伝統と文化を次の世代へ手渡している。物語が終わると、子どもたちと「友だちを助けるにはどうすればいいか」を語り合う。8歳のブルーノ・イネザ・カベラは言う。この時間が「心をすっきりさせてくれる」、そして新しい言葉の意味を教えてくれる、と。
図書館の取り組みは、読み聞かせだけにとどまらない。子どもたちは「平和ディベート」で一つのテーマについて立場を決め、資料で調べ、人前で意見を述べる練習をする。さらに、約250人の子どもや若者が「ピア・メディエーション(仲間同士の仲裁)」の訓練を修了した。8歳から15歳が、対立の根っこにある原因を学び、たとえば「同級生が友だちのペンを盗んだとき、どう間に入るか」を寸劇で練習する。イネザ・カベラの同級生ソニア・ハキジマナ・イラボネイェは、こう説明する。仲裁では「どうすれば、ある子が別の子やその友だち、家族を助けられるかを学ぶ」のだと。
学んだことは、教室の外でも生きる。ビアンヴニュ・ムギシャ少年は、実際に学校で似た出来事が起きたとき、何をすべきか分かっていた。盗みをした同級生に品物を返させ、盗まれた側にはその子を許すよう促したのだ。訓練を終えた子どもたちは学校に「平和クラブ」をつくり、討論会や劇、詩の朗読を通じて、仲間に平和を伝えていく。詩を書いて披露するのは、イネザ・カベラのいちばん好きな方法だという。
変化は、子どもたちの周りの大人にも届いている。教師のジャンヌ・クラリス・ムカルニャンゲ氏は、生徒たちが自分で対立を扱えるようになり、自分が間に入る回数が減ったと感謝を語る。母親のエピファニー・ウジェネザ氏は、仲裁の訓練を受けた息子が弟と言い争うことが減り、近所で子ども同士のけんかを仲裁する姿も見たと話す。彼女の子どもたちは今、図書館から本を借りては夢中で読む。「すべてのルワンダの子に、いつか平和図書館を」——それが彼女の願いだ。ムハウェニマナ氏も同じ夢を見ている。キガリ近郊に7館目を準備し、より多くの子に届くよう電子書籍の図書館づくりも進む。「平和は、いっしょに築くものです」と彼女は言う。
祈りによせて
かつて言葉が人を分断と暴力へと駆り立てた土地で、いま子どもたちは、言葉を平和の道具として学び直しています。一冊の絵本をいっしょに読み、友だちの気持ちを思いやり、けんかの間に立ってみる——その小さな練習の積み重ねが、次の世代の心の土台を静かに変えていきます。平和とは、誰かが上から与えるものではなく、子どもの手から手へ、物語とともに受け渡されていくものなのかもしれません。本を抱えて家路につくルワンダの子どもたち一人ひとりの未来に、そして世界中で言葉を武器ではなく架け橋として使おうとするすべての人に、穏やかな光が差しますように。
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参考・引用元
- Christian Courier「Peace libraries」(2025年1月、Sienna Malik/初出はMCC機関誌 A Common Place):christiancourier.ca
- Transformational Leadership Center (TLC) Rwanda「Children's Peace Libraries」公式情報:tlcrwanda.org
- African Storybook(アフリカの作家による多言語絵本の取り組み):africanstorybook.org
- The Conversation「African stories to get and keep kids reading during school holidays」(蔵書・民話・多言語の解説):theconversation.com