カンボジアの市場や屋台で、いま当たり前のように見かける光景があります。客がスマートフォンで小さなQRコードを読み取り、数秒で支払いを終える――銀行口座を持たない売り手も、手数料なしでその場で代金を受け取れるのです。これを支えるのが、中央銀行が自前で築いたデジタル決済システム「バコン(Bakong)」です。豊かな国の便利さを後追いするのではなく、銀行が行き渡る前に、いきなり「キャッシュレス」へと飛び越えた国の物語です。 なぜ、カンボジアで進んだのか 背景には、この国ならではの二つの事情があります。ひとつは「 ...