2026年2月15日、太平洋に浮かぶ島国パラオの港から、一艘の双胴カヌーが静かに出航した。名はAlingano Maisu(アリンガノ・マイス)。全長約17メートルのその船には、GPSも羅針盤もレーダーもない。13人余りのクルーが頼りにするのは、星の道筋と、海のうねりと、風と雲、そして渡り鳥の動きだけだ。何千年も前から島々を結んできた、機器に頼らない航海術。それを次の世代へ手渡すための、長い旅の始まりだった。 失われかけた、海を読む技 かつて太平洋の島々では、航海術は一族のなかだけで密かに受け継がれる、門 ...