南太平洋に浮かぶフィジー。青く澄んだ海は、島の人々の暮らしを抱く揺りかごであると同時に、近年は少しずつ村の土地をのみ込む脅威にもなっている。その海と向き合うために、フィジーの沿岸の村々でいま、ある「壁」が静かに広がりつつある。コンクリートで固めた堤防ではない。石とマングローブと草を組み合わせた、いわば「生きた防潮堤」だ。 のみ込まれる海岸線 フィジー周辺の海面は、1992年から2024年にかけて年あたり4〜5ミリのペースで上昇してきた。世界平均の年3.2ミリを大きく上回る速さだ。低地の村では、満潮のたびに ...