「私、光ファイバーの融着がとても得意なの。ビーズ細工をやってきたおかげでね」。米国先住民のためのある技術講習で、講師のダビダ・デルマーさんはそう言って参加者に問いかける。「ほかにビーズをやる人は?」。たいてい、手を挙げるのは女性だ。祖先から受け継いだ細やかな手わざが、髪の毛ほどの細さの光ファイバーを正確につなぐ最先端の作業に、そのまま生きる——。砂漠の真ん中で開かれるこの「部族ブロードバンド・ブートキャンプ」は、先住民が自らの手でインターネットを築くための、温かな学びの場である。
「贅沢品」だった高速インターネット
都市に暮らす多くの人にとって、高速インターネットは生活の土台だ。仕事も、学校も、医療も、家族との連絡も、その上に成り立っている。だが米国の先住民居留地では、長らくそれが手の届かない「贅沢品」だった。連邦通信委員会の報告によれば、居留地に暮らす人々のおよそ24%が今もブロードバンドにアクセスできていない。全米平均の約7%と比べて、その差は際立っている。何十年もの間、通信会社の多くは採算の合わない居留地を後回しにし、時に人々を欺いてきた歴史さえあった。
転機は2020年、新型コロナの大流行だった。外出できず、すべてがオンラインに移ったとき、つながれない暮らしの不利益は、もはや見過ごせないものになった。ちょうどその頃、米国の制度も動き出す。2021年、先住民の土地に特定の電波(2.5ギガヘルツ帯)を優先的に割り当てる枠が設けられ、部族向けブロードバンド整備に約30億ドルの連邦予算がついた。だが、電波免許や予算を手にしても、肝心の「作り方」を知る人が、コミュニティにはいなかった。
「私たちは、そういうやり方はしない」
各地の部族から「どうすればいいのか」という問い合わせが殺到した。その声を受け止めたのが、クリー族の血を引くマット・ランタネンさんだった。長年、先住民のデジタル格差と向き合ってきたランタネンさんは、仲間のクリス・ミッチェルさんとともに、ひとつの場を立ち上げる。2021年夏、コロナ下で居留地が閉ざされるなか、南カリフォルニアにある自身の24エーカーの土地に、5つの先住民ネーションから20人あまりが集まった。これが最初のブートキャンプである。
この場には、はっきりとした流儀がある。ランタネンさんは言う。「会議のような場では、専門家たちに囲まれて、彼らはどこか偉そうにしている。私たちは、そういうやり方はしない」。続けてこうも語る。「誰もが学ぶべきことを持っている。でも同時に、どんなに基礎的なレベルであっても、誰もが何かを貢献できると、私たちは考えているんです」。上から教え込むのではなく、参加者同士が自分の経験——うまくいったことも、失敗したことも——を持ち寄り、横一線で学び合う。先住民の専門家や技術者を積極的に講師に迎え、当事者が当事者を育てる循環を作ってきた。
ランタネンさんの土地には「ブロードバンドの遊び場」がある。地中に埋めた光ファイバー、アクセスポイント、電波塔——本物の機材をそのまま残し、参加者が自由に触り、いじれるようにしてある。「手で触れられる本物をいじれるから、出席率もちょっといいんですよ」と笑う。最初の講習が成功したとき、二人は「まぐれかもしれない。もう一度やって、本当に成功だったか確かめよう」と語り合った。その「もう一度」が、今に続いている。
車輪を、二度発明しなくていい
あれから全米で約20回のブートキャンプが開かれ、80を超える部族から400人以上が技術を学んだ。今では約80の「部族が所有するインターネット網」が各地で稼働している。デルマーさんはこれまで16回の講習に、その多くを講師として関わってきた。男性が多いこの分野で、彼女は意識して女性を励ます。「男性中心の世界だけれど、部族のインターネット事業で主導権を握る女性が、どんどん増えているのを見てきました。この場所は、あなたのためにあるのだと伝えたいんです」。
講習は、現場の作業員を育てるだけにとどまらない。高齢者をサイバー詐欺からどう守るか、子どもをネット上の危険からどう守るか、部族議会にどう働きかけて人々を守る政策を作るか——話題は年々広がっている。20年近く部族のために働いてきたヤキ族の血を引くアブラハム・カメズ三世さんは、こう語る。「他の部族は、良い経験も悪い経験も、進んで分かち合ってくれる。同じ失敗を繰り返さないために。車輪を二度発明する必要なんて、ないんです」。ミシガン州で講習を主催したチペワ族の一員ダン・ドイルさんの言葉が、この営みの核心を言い表している。「私たちは共に、今を生きる人々のために、そして次の世代のために、デジタル主権を前へ進めているのです」。
まだ道の途中で
もちろん、すべてが解決したわけではない。新しく生まれた部族のネットワークが、これから何世代にもわたって続いていけるか——その持続可能性は、当事者たちが最も気にかけている課題だ。講師の一人アーニー・ラスムッセンさんは、「手頃な料金を保ちながら、運営を続けるための蓄えもどう確保するか。そのバランスをどう取るか」に多くの時間を割いて語るという。連邦政府の巨額の投資も、ランタネンさんは「一度きりのもの」と冷静に見ている。だからこそ、すでに自前の網を築いた部族から学ぶことに、大きな意味があるのだ。依然として、多くの居留地はつながらないままでもある。
祈りによせて
ランタネンさんの夢は、500以上の部族が自分たちで所有し、運営する網を持つことだ。それは単に電波を飛ばすという話ではない。長く後回しにされ、時に欺かれてきた人々が、自らの情報の基盤を自らの手に取り戻すという、静かな尊厳の回復である。ビーズを編んできた手が、光をつなぐ。祖先の知恵と最新の技術が、一人の人間の指先で出会う。誰かに与えられるのを待つのではなく、隣の人と肩を並べて学び、次の世代へ手渡していく。その温かな連帯のなかに、世界が少しずつ良い方へ向かう確かな道筋が見える。つながりを取り戻そうとするすべての人々に、祈りを捧げたい。
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参考・引用元
- ICT News「'Advancing digital sovereignty' with Tribal Broadband Bootcamps」(2025年10月20日):ictnews.org
- Tribal Broadband Bootcamp 公式:tribalbroadbandbootcamp.org
- The Nation「An Experiment in Tribally Owned Internet」(2025年1月):thenation.com
- Institute for Local Self-Reliance「Indigenous Broadband Networks」:communitynetworks.org
- CENIC「2024 Innovations in Networking Award」(2024年2月):businesswire.com