琥珀色のウイスキーをひと口含むと、ふわりと立ちのぼる燻したような香り。あの「ピート香」の正体は、アイルランドやスコットランドの大地に1万年かけて積もった泥炭(ピート)だ。麦芽を乾かすときに焚かれ、独特の薫香を生む。だがその同じ泥炭の大地が今、まったく別の理由でアイルランドの希望になりつつある。掘り尽くされ、乾き、痩せた湿原が、人の手で再び水を含み、命を取り戻し始めているのだ。 200年で1700ヘクタールにまで減った大地 アイルランドの国土の約2割を覆う泥炭地(ボグ)は、1万年以上前から枯れた植物が水中で ...